【書評】「週刊文春」編集長の仕事術(新谷学)


著者は1989年に文藝春秋に入社し、「Number」「マルコポーロ」「月刊文藝春秋」担当を経て2012年より週刊文春の編集長をしている新谷学氏。
本の内容としてはかなり面白かった。
ただ、あちらこちらでイラつく表現があり全体的に気に障る本。
まず、題名に偽りあり。「編集長の仕事術」についての言及は最後まで無い。編集長で無い時代の思い出話や自慢話がほとんど。

全体を通じて一貫して感じるのは以下の3つ。
【1】サラリーマンが何を偉そうに
【2】言うことコロコロ変わりすぎ
【3】著者はサイコパスなんだろうな

まず【1】に関しては決して自営業が偉いとかそういう意味ではないが、自分は会社に立場と給与を守られた状態で、芸能人や政治家(どちらも自営業みたいなもの)からゴシップを集めて彼らの人生を潰して飯を食っているのに、それを頑なに認めない姿勢が非常に気に障る。

【2】はとにかく全体的に主張に一貫性がない。

【3】は嘘つきすぎ。
ただ、著者の中では全部嘘じゃないんだろうな=サイコパスなんだろうなと感じる。
例えば、以下の2文が同じ章にある。
毎日新しい人に会っていて、誰かとトコトン深く付き合う時間はあるのだろうか。無職ならまだしも激務の上で。
「人間対人間のトコトン深い付き合いをして信頼関係を得た上で口説かなければ、本当の情報は取れない」
「私は今でも毎日新しい人に会うよう心がけている」

他には「自分は書かなければいけない、嫌われても書かなくてはいけない」みたいな主張をしつつ、情報源についてはA氏だB氏だといいながら、墓場までその人のことは持っていくそうだ。
情報源の人達は守って、ベッキーは書かなければいけない理由が全くわからない。
ちなみに、著者がデスク時代の三原則は「嘘をつかない」「弱い者いじめをしない」「仕事から逃げない」だそうだ。清々しいまでの嘘つきのサイコパス。
また、「逃げない」と「撤収」は別だそうだ。もう全く意味がわからない。

本当に読んでいてイライラするのだが、内容は非常に面白い。どういうことなのか私自身もわからない。本当に頭が良くて、度胸があって、仕事を面白がってしている人であり、実際に結果も出せてリーダーシップもあるのが著者だと思う。
自分の仕事を意味のあるものにみせようとするくだりになると急にイラつく。
もしかしたら、長年の編集者生活で、そう自分を洗脳しないとやっていけなくなったのかもしれない。
もっと堂々と、週刊文春の記者という仕事はクズだ。人の人生を潰して自分は何も作り上げない仕事だ。ただし、めちゃくちゃ本は売れている。ぐらいのことをどーんと言ってくれればよかったなぁと思う。
イライラするけれどおすすめの一冊。