【書評】ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実(クリスチャン・ラダー)


副題は「ネットの密かな行動から、私たちの何がわかってしまったのか?」
著者はアメリカの大手出会いサイト「Okキューピッド」共同創業者。ハーバード大学卒業で数学専攻。
この本は出会いサイトの本でも有るし、ビッグデータの本でもあるし、人情派データサイエンティストのエッセイでもある、非常に面白い一冊。

Okキューピッドは「アルゴリズムによるマッチング機能」が特徴的で写真とプロフィールを登録後、相手の条件や恋愛観、人生観などについて1000項目異常の質問に答える必要がある。その回答の内容をもとにアルゴリズムが相性度を計算して、マッチングできそうな人を見つけ出す。

出会いサイトのデータは他のインターネット上にあるアンケートなどによるデータより精度が高い、なぜなら、最終的には出会うこと、もっというとそこからパートナーとなることが目的のため、嘘をついても出会えないからだ。

世界のどのような人種、エリアの人がそれぞれどのようなことを魅力的に感じているか等、民族学的な面白さもあるが、それ以上に少しドキッとする面白さは別のところにある。
この本はあくまで「データ」を「分析せず」に紹介することで、現代社会ではなかなか書けない内容を堂々と提示してくれる。
例えば以下の様な記述が本著内にあるが、これらは自分の意見として書いたら一斉に叩かれること間違い無し、下手したら訴訟ものである。
「20代の男性でも50代の男性でも、男性が魅力的だと思う女性の年齢20代前半が圧倒的」
「男性は基本的には自分と同じ人種の女性を好む傾向があるが、黒人の女性は好まない」
「黒人女性というだけで魅力は25ポイント下がる」
「白人というだけで魅力的に思われる」

また、この本は単なる日本語の読み物としても面白く、それでいて読みやすい。
こう感じさせるのは翻訳者の矢羽野薫氏の力だと思う。