【書評】野村證券 第2事業法人部(横尾宣政)


著者の横尾氏は1978年に野村證券に入社、その後20年間にわたって勤務した後、コンサルティング会社グローバル・カンパニー・インコーポレート(GCI)を設立。2011年に発覚した「オリンパス巨額損失隠し事件」の指南役とされ、2012年に証券取引法・金融商品取引法違反容疑で逮捕される。その後、詐欺、組織犯罪処罰法違反の容疑も加えられるが現在も上告中。

前半は著者の野村證券時代の実体験が書かれており、後半はいわゆる「オリンパス巨額損失隠し事件」についての無実の訴え。

読み終えてまず最初に思ったことは、この本は前半と後半で別の本で書かれるべきだということ。オリンパス事件に関する面子は、著者の野村證券時代から繋がる人脈という意味では、このような構成にした意味もあったのかもしれないし、出版社の意向もあるのだろうが「野村證券 第2事業法人部」という題名はいただけない。私が知りたかったのは「ノルマ証券」の営業部隊の話であって、オリンパス事件のことではないので、後半はあまり楽しめなかった。
その分、前半部分の野村證券の内情、組織構成、パワハラなどの実名暴露は清々しく気持ちよく面白い。住友信託などは関係ないのに元本保証を暴露されたりしてこれもまた笑える。

あくまで個人的な意見ではあるが、著者は天才型サイコパス。
非常に事務能力が高く、営業の天才であり、人の痛みを一切理解せず、嘘ですら真実と思い込むのだと感じた。「カネがない」という主張をしつつ、一括で購入したマンションの記述があったり、野村證券の給与はこんなものだ、という暴露のあとに、2500万円もらっていた、という。

基本的に全編を実名で記述している本であるのに、後半で彼を褒める人達に名前や人格は無い。著者を貶めた人達は少し顔を出した人間ですら実名暴露であるのに、彼を応援した刑務官は本当に存在したのかもわからない。
その人に迷惑がかからないようにという配慮の結果と言われてしまえばそれまでではあるが、徹底して敵と味方を分けて書かれている。

野村證券時代からの付き合いでオリンパス事件の元凶と言われる山田氏などとは、当初から馬が合わなかったというような記述がされており、仕事での付き合いは理解できるが、そのような人間をプライベートな会食に参加させたりして意味がわからない。
群栄化学工業に対しては、創業者の人格まで否定しつつも、事件まで付き合いが続く。

やはり、この本は私にとっては前半に魅力が9割詰まった本である。