【書評】やらないこと戦略 最大限にクリエイティビティを上げる時間管理術(ドナルド・ロース)

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内容的に特に新しいことは無いが、「やらないことを決めないといけない」とは分かっているけどなかなかそうは物事が進まない人の背中をもうひと押しするための本としていいと思う。

ライフハック的な内容もあるが「時間を節約してもっと多くのことをやろう」ではなく「時間を節約して大事なことに注ぐ時間を増やそう」そして「大事なことに集中しよう」という内容の本。

クリエイティブな仕事の人にもやらなければいけない毎日の雑多なことがある。それは「ルーティン」にしてしまい時間と脳の使用量を節約することで大事な時間を大事な仕事に回せる、つまり、クリエイティブな人にも「ルーティン」が必要で効果的という主張も面白い。

【抜粋】
「この電話にはどうしても出ないと・・・」とよく言う。だがそんなことはない。眼の前の相手との会話を先に済ませてから10分後に電話を折り返したとしても、それで世界が終わるようなことはまずありえない。あなたは電話に出なければならないのではなく、出ると自分で選択しているのだ。

ときどきなんの脈絡もなくメールを転送してくる人がいる。説明も依頼も、何もなしに。私はその手のメールを受け取っても絶対に何もしない。相手がメールを送るのに状況を説明する時間を割かないなら、それほど重要なはずはないと考えて差し支えないからだ。留守番電話にメッセージを残さない人にしても同じだ。私は電話を折り返さない。そして、メールに見られる、あの赤いびっくりマークはどうだろうか。本当にそれほど重要なら、相手は電話をかけてくるはずだ。人が一日中コンピューターにかじりついていることなど期待はできないのだから。

外出先で電話がかかってきたら、要点をメールで送ってほしいと頼もう。主なメリットはあたふたとペンを探さずにすむことと、クライアント側も自らメールを送ることになるので、必要な情報をすべてこちらに伝えたと、あとから革新できることだ。

(アポのための)「お互いのために何ができるかを知るため」は「私にも参加できそうな仕事はないですか?」と解釈すべきで「ものすごいプロジェクトがあり、ぜひともあなたに力になってもらいたい」という意味ではない。

物事を学ぶ唯一の方法は失敗をすることだ。誰でも自分の限界を追求すれば、失敗をするものだ。何がぎりぎり可能なのか、やりすぎなのか。もし失敗しても、なぜ失敗したのかを分析し、改善の方法を学べばいい。時間はかかるかもしれないが、確実に自分のレベルを一段引き上げ、より効率的な仕事ができるようになる。

自分の手がけたものがすべてデザインブックに載ったり、美術館に飾られたりする必要はない。家賃が払えるという理由だけでプロジェクトを引き受けることもある。それは何も悪いことではない。お金を手に入れて、手を切ろう!

通常、私たちは「こうあるべき」を反映するムードボードを作ることが多い。だが、「こうあってはならない」を反映するムードボードが驚くほど効果的な場合もある。コインの表と裏の両面が見えるようになり、全員で同じ認識を持つのに役立つからだ。

自分にルールを課し、そのなかで解決策を見つけるという手もある。そうした制限を自分に課すことによって選択を迫られ、残された選択肢に対してはるかに創造的な姿勢で臨むことができる。自分でルールを設けると、たくさんの問題を考える必要がなくなる。

「もっと時間があったら、もっと短い手紙を書いたのだが」
チャーチル他

「始めたことは最後までやるのが人間の性らしく、やり遂げなければ人は不協和(ストレス)を感じる」
ツァイガニルク効果

「これから自分がしようとしていることの検討はつけておかなければならないが、それはおおよその検討であるべきだ。」
パブロ・ピカソ

「人が通れるドアの数を減らせば、みんなに通ってほしいドアをより多くの人が通れることになる」
スコット・ベルスキー(アメリカの起業家)

「仕事において共謀、かつ独創的でいられるように日常生活においては規則正しく秩序を保つこと」
クライヴ・パーカー(イギリスの小説家・脚本家・映画監督)

「総合的な電子機器を備えたスタジオがあれば、好きな音は何でも作れる。でも、その機器を使わないことにすると、音はもっと面白くなる」
マシュー・ハーバート(イギリスのDJ・音楽プロデューサー)