【書評】SHOE DOG(シュードッグ)(著:フィル・ナイト)(訳:大田黒康之)

【評価】

【こんな人におすすめ】
・バックパック旅行に興味がある人
・映画「ロスト・イン・トランスレーション」が好きな人
・商社の仕事に興味がある人

【書評】
ナイキ創業者のフィル・ナイトによる本。この本の存在は少し前から知っていたものの、勝手に「大企業の創業者が書いた、くだならい自慢だらけの嘘にまみれた自伝」だと思ってスルーしていたところ、お世話になっている人から「非常に面白いよ」と聞いて読んでみたところ、かなり面白かった。

まずは、著者のバックパック旅行のエピソードなどから始まり、バンコクも何度も出てくる。著者が日本に滞在し、日本に住むアメリカ人から「日本人の取扱説明書」のようなものを聞かされる部分など、映画「ロスト・イン・トランスレーション」を彷彿とさせて面白い。また、私自身がタイに住む日本人ということもあり、現地人でないがゆえのネットワークや情報網、嫌いな部分も理解できない部分もあるけれど、やっぱり好き、というような部分などに共感を覚えた。オニツカタイガー(アシックス)とのやり取りにおいては何度も神戸が出てきて懐かしかった。

良い日本人、嫌な日本人、悪い日本人などがたくさんでてきて、この本は単なるナイキの本ではない。あとがきにもある通り、記憶違いの部分も多々あると思うし、正確ではない記述も多くあるのだろうと思う。しかし、それらを差し引いても最高に面白い一冊。

最後に、この本を日本語で読んでここまで面白くできているのは翻訳者の大田黒康之氏の手腕による部分もかなり大きいと思う。氏の他の翻訳作品を見ると音楽関係の書籍の翻訳が多く、この「シュードッグ」の文章全体に、使い古された言葉でいうところのグルーヴ感のようなものがにじみ出ているのは偶然では無いように思う。