【書評】最強のシンプル思考 最高の結果を出すためのたった一つのルール(ケン・シーガル著、大熊 希美訳)


【評価】

【書評】
まず、一番悲しいのは「Think Simple」が「最強のシンプル思考」と約されている部分。著者はアップルの「Think Different」の担当者であり、著作内でも「Think Different」はそのまま使われているのに、題名だけ「最高のシンプル思考」ではせっかくの関連性が無意味になっているように感じる。「シンプルにしよう」というものがテーマであるのに、題名からしてシンプルでない。ただ、これは前著「Insanely Simple」の邦題を「Think Simple」にしてしまったことが原因だと思われるので仕方ない。

内容は章によって面白さにムラがある感じがするのと、様々なシンプルの伝導者があちこちの章をまたいで登場して頭が少し混乱した。これはシンプル化の話か?と思うような章もあった。最終章を除き、「シンプルは○○だ」という章が9章続く構成になっているが、「✖✖(人名)のシンプル化ストーリー」という形で、人物ごとに章を分類してくれたほうが、もっと話がストーリーとして頭に入ってきたのではないかと思う。
途中、「シンプル」の話なのか「企業におけるミッションの重要性」の話なのか分からなくなってくるような部分もあるし、そもそも到底シンプルとは思えない事例もある。

ただ、「シンプル」かどうかを別にして、内容は面白いものが多かったので星4つ。

【著者紹介】
広告のクリエイティブ・ディレクターとして数々の賞を総なめにしてきた伝説敵陣ブウ・。スティーブ・ジョブズとはネクスト時代から計12年間ともに働く。1997年倒産の危機にあったアップルに復帰したジョブズに起用され、Think Differentのマーケティングキャンペーンに参画。「iMac」から続く「i」シリーズを命名。アップル復活に重要な役割を果たした。アップル以外にもIBM、インテル、デル、BMWなどのグローバル・クリエイティブ・ディレクターを勤めた。「シンプル」の提唱者であり、これまでに培ったマーケティングの知見をテレビやインターネットなどでも伝えている。

【まとめ/抜粋】
シンプルなものが、シンプルに作られているとは限らない。
一見とてもシンプルな製品、サービス、ウェブサイトがあったとする。だがそれは、たくさんの人が熱い議論を交わし、献身的な労力を注ぎ込んで得られた成果だ。顧客がそれを知ることはない。顧客はシンプルな成果だけを目にする。
結局のところ、シンプルなものは存在しないとも言える。私たちは「シンプルに感じるもの」の話をしているにすぎない。

ベン&ジェリーズの大粒のクッキー入りアイス。
一般的なアイスクリームの製造機器は、小粒の具材にしか対応できない設計でした。私たちは大粒の具材をアイスクリームに加える方法を考え出したのです。これを大規模に展開するのはとても複雑な仕事でした。ですが、顧客にとっては、とてもシンプルにできているように見えるのです。

フールプルーフのフロー哲学。
フール・プルーフはウェブサイトのインタラクション・デザインにフローを取り入れ、サイトの来訪者が深く考えなくても次に何をすべきかが明確に分かるサイトを制作し、顧客がシンプルで心地良い体験を感じるようにしている。
心理学的に、フローは喜びの一種だという。今何をしているか、次に何をすべきか、どこに向かっているのかが理解できる状態だ。ユーザーに満足感を与え、その体験を阻害する要素がない環境がフローを作るとトムは説明する。